カジュアル 経済 #19
こんにちは! iscandaruです! みなさん「経済レベルチェッカー」お試しいただけましたか? このカジュアル経済のシリーズを振り返ることができるアプリですので、まだの方は是非やってみてください!
実はこのアプリはカジュアル経済立ち上げのときから構想がありました。そして今回なんとか形になり、たくさんの人に遊んでいただけているようでとても嬉しいです。
これからも様々な活動を通して、みなさんとつながってきたいと思いますので、よろしくお願いします!
さて、4つのシリーズと番外編、経済レベルチェッカーでひと段落したこの「カジュアル☆経済」なんですが、まだまだ終わりません! これからは第2章ということで新たなテーマに触れていこうと思います!
今回から始まるシリーズは・・・
「ざっくり解説!MMT編」です!
みなさん「MMT」という単語、聞いたことはありませんか? 正式名を「Modern Monetary Theory」という日本の経済界では2019年あたりから話題になっている「経済の新理論」なのですが、多くの人にとっては聞き馴染みのない言葉かもしれないですね。
そんな注目の新理論について今回のシリーズで"カジュアルに"解説していきますので、ぜひこの機会に学んでみてください!
人類最大の発見!?
「おカネの正体に気づいた瞬間」
MMTの中身に入る前に最低限、知っておかなければいけないことがあります。それは「おカネの正体」についてです。
カジュアル経済の3つ目のシリーズ「おカネの正体編」にて、おカネは物々交換から生まれたわけではなく、その正体は「債務と債権の記録」だということを学びましたね!
この「おカネの正体」がMMTに大きく関わってくるので、もう一度別の形で抑え直しておきましょう! 今回は"歴史の側面"から攻めていきます!
17世期、とある金細工職人のお話…
むかしむかし、まだおカネが金貨・銀貨だった時代。あるところに金細工職人(ゴールドスミス)の男、Aがおりました。 そして金を扱うその男は、家に巨大な金庫を持っていることが自慢でした。
あるとき、お金持ちの商人からこんなお願いをされました。
「なあAよ、お前のとこの金庫はすごいらしいじゃないか。 うちにも金庫はあるが、どうも心許ない。うちの金貨を預かってはくれないか?」
ということでAは金貨を預かり、その証拠として証明書を商人に渡しました。
そうして「金貨の預かりサービス」を始めてしばらく経った頃、Aはあることに気づきます。
「この預かっている金貨、商人たちが一気に引き出すことはないな…。そうだ!だったらこの金貨を貸し出してしまえばいいんだ!」
ということでゴールドスミスは新たに「金貨を貸し出すサービス」をはじめました。
そのサービスは一躍話題となり、ゴールドスミスの事業は大成功しました。
しかし、またしばらく経った頃、急にゴールドスミスの店を訪ねる人が少なくなってしまいました。
「どうしたもんか」と気になったAは街に出て、商人の様子をうかがってみると、なんと!商人が「証明書」を使って取引をしているではありませんか!
驚いたAは商人に話を聞いてみました。するとこんな返事が、
「ああ、支払いをするのにわざわざお前のところに行って、金貨を受け取るともいろいろと面倒なんだ。重いし、治安も悪いしな。」
なるほど、とAは納得しました。商人は話を続けます。
「そしてどうせ代金を金貨で受け取ったとしても、またお前のところに預けるだけだから二度手間なんだ。 だからこの証明書をつかって支払うことにしたんだよ。 これならかさばらないし、管理しやすくて安全だしな。」
店を訪れる人が急に少なくなった原因がわかって一安心したゴールドスミスは家へと帰りました。 そして眠りにつくときにふと思ったのです。
「証明書が金貨の代わりになるのなら、最初から証明書でおカネを貸し出すのはどうだろう? どうせみんなそっちを使うんだから。」
ということで、次の日からゴールドスミスは貸し出すのは「金貨」ではなく、「証明書」へと切り替え、また事業が大成功するのでした。 おわり。
脚色はありますが、これは実際に17世期のイギリスで始まった「ゴールドスミス・ノート」と呼ばれる「約束手形(証明書)」のお話です。
もうお気づきかと思いますが、これが現在の紙幣の元が生まれた、正確には「おカネが債務と債権の記録」ということが明確になった瞬間です。
このお話の最後にゴールドスミスは、自分が持っている金貨の量とは関係なしに「証明書」と言う形でおカネを発行しましたよね。 そしてこれがおカネとして機能したのは、この証明書がおカネを借りたことを示す「債務と債権の記録」に他ならないからです。
つまり、この瞬間に「おカネ=金貨(モノ)」だった時代から「おカネ=証明書(情報)」と切り替わったということなんです。
というより、本当は「金貨」も債務と債権の記録として生まれてはいるのですが、やはりその姿・形から「モノ」として考えられていました。 しかし、この「証明書」が生まれたことによってそれが明確に「情報」という形に置き換わってしまったのです。
もしよろしければこの話のわかりやすい解説をまとめてくださっている動画がありますので、掴めなかった方はこちらの方でもご確認ください。
ということで改めて「おカネの正体」について歴史の側面から確認してみました。 ではこれがどうMMTと関わっていくのでしょうか?
信用貨幣論と商品貨幣論
MMTはこれまで20世期初頭から積み上げられてきた「ケインズ系の経済学」の集大成として発表された、ざっくりと言えば「現代のおカネ、経済を説明する理論」です。
その中で根幹をなす考え方のひとつが「信用貨幣論」と呼ばれるモノです。 これは今まで説明してきた「おカネは債務と債権の記録だ」ということが元になっている考え方です。
一方で、そうではなく「おカネ=モノ」と考えているのが、現在主流の「商品貨幣論」というものです。 現在実はこの二つの理論が激しくぶつかり合っているんですね!
私は「信用貨幣論」の方が現実の経済をうまく説明できていると思うので「商品貨幣論」を取る経済学(個人的に「旧式経済学」と呼んでいます。)には否定的です。 しかしながら、これまでの経緯から、まだ旧式経済学が圧倒的な勢力を持っています。
実はこのカジュアル経済はMMTの考え方を元にして経済について考えてきました。そしてこれまで説明してきたように、「おカネ=モノ」の旧式経済学だと説明がつかないことが増えてきているんですね。
しかしこれは現在も議論が交わされているものですので、どちらが正しいと断定することはできません。カジュアル経済ではこれからも「MMT側」の説明をしますが、皆さんには是非、この記事を鵜呑みにすることなく、自分で考えて何が正しいのかを判断していただければと思います。
ということで今回は「おカネが情報になった瞬間」についてのエントリーでした。 いかがでしたでしょうか?
次回以降では、今回登場したこの二つの経済学についてわかりやすく、もう少し踏み込んで説明していこうと思います!
少し以前よりもレベルが上がったと感じるかもしれませんが、今までのカジュアル経済を理解できたあなたならきっとついて来れるはずです! 一緒に楽しく勉強していきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた!