カジュアル 経済 #12 ー おカネが生まれる瞬間
こんにちは! iscandaruです! 前回のカジュアル経済は「おカネは債務と債権の記録だ」ということを説明したエントリーでした!
これさえわかれば、「おカネ=モノ」と言う呪縛から逃れ、おカネについて正しく理解できますよね! 今回は前回の内容を踏まえ、「おカネはどうやって生まれるのか」について考えていきます!
おカネが生まれる、すなわち「おカネが発行される」のはどんな時なのでしょうか?
「そりゃ、おカネが作られたり、刷られた時じゃない?」
と思われるかもしれませんが、そうではありません。それでは「おカネ=モノ」になってしまいますからね。 しつこく確認しますが、おカネは債務と債権の記録という「情報」です。ですからお札を刷ることは「おカネの『カタチ』を決める話」なんです。
では、おカネはいつ作られるのか、発表いたします。それは・・・
「おカネを借りたとき」です!
「おカネが作られるのはおカネを借りたとき」というと循環論法になっているようにも思えるかもしれませんね(笑) でも大丈夫です。これから解説していきますよ!
まず、おカネの正体は「債務と債権の記録」でした。したがって「おカネが生まれる」というのは「債務と債権の記録が生まれる」と同じことですよね。
そして「債務と債権」というのは「借金をするときに生じる義務と権利」です。したがって以上の話を総合すると「おカネが生まれる」のは「おカネを借りたとき」ということになるんです。
…と、言葉を並べ立てられてもわかりにくいと思いますので、またしても例え話で説明していこうと思います。
前回に引き続き、またしても「肩たたき券」に登場してもらいましょう。 今回考えるのはこんなシチュエーションです。
あるところにAちゃんという女の子がいて、Aちゃんはお母さんに「肩たたき券あげるからお菓子ちょうだい」とお願いしました。
するとおかあさんは「しょうがないわね」といってお菓子をあげ、Aちゃんは大喜びでそれを食べました。
他の仕事で忙しいお母さんは、お父さんにさっきAちゃんからもらった「肩たたき券」を渡して、トイレ掃除を頼みました。
お父さんはもらった「肩たたき券」でAちゃんに肩たたきをしてもらいましたとさ。
Aちゃんにとっては、お母さんにあげた肩たたき券をお父さんに使われてしまって不本意かもしれませんが、そこは置いておきましょう(笑)
前回考えたように、この「肩たたき券」は債務と債権の記録であるために「おカネ」として機能しています。だからこそお母さんはお父さんに「肩たたき券」で「トイレ掃除」をお願いできたわけです。
では、この「肩たたき券=おカネ」はどの時点で生まれたのでしょうか?それは、「Aちゃんとお母さんの間での取り引きが成立した瞬間」つまり「債務と債権が発生した時点」です。
それまで何もなかったところから「債務と債権」が生じた瞬間におカネが誕生したのですから、「おカネは借りたときにつくられる」といっても差し支えありませんよね。
ここでひとつ、重要なことを確認しておきます。それは「誰かが負債を抱えないと、おカネは生まれない」ということです。先程の例で言うと「Aちゃんが肩たたきする」という「負債」がなかったら「肩たたき券=おカネ」は生まれませんでしたよね。
つまり、現金紙幣も銀行預金も、ありとあらゆるおカネが「誰かが負債を抱えた瞬間に生まれる」わけです。おカネは「債務と債権の記録」ですから、誰かが「債務」という「負債」を負わないとお金は生まれないんですね。
これはとても重要で、簡単に言うと「誰かの赤字は誰かの黒字」という"世の中の決まり"です。これは「誰かが黒字になるためには誰かが赤字を負わなければならない。」ということを表しています。この「法則」が後々大切になっていきますので、覚えておいてください。
では「おカネは借りたときに作られる」という意味がわかったところで、話を現実世界へ拡大してみましょう。 たとえば、「小切手」はどのように作られているのでしょうか?
「小切手」は銀行預金の一つである「当座預金」を担保にして発行することができます。先ほどの例えでいうと「肩たたき券=小切手」「お菓子=当座預金」ということになるわけですね。
これも立派なおカネであり、「小切手を渡す人=債務者」「小切手をもらう人=債権者」となります。私たちでも現実世界で小切手という形でおカネを発行できるんですね!
では、みなさんが普段からよく使う「現金紙幣」はどうでしょうか?
「現金紙幣」は「日本銀行=債務者」「持っている人=債権者」のおカネです。その証拠にお札にはハッキリと「日本銀行券」と書いてありますよね。では先程の例え話での「お菓子」のように、「現金の裏付け」は何かというと…
何もありません。
「えっ!?」と思われるかもしれませんが、本当です。裏付けになる"モノ"はなーんにもないんです。
ではなぜ、日本銀行、ひいてはその"親会社"とも言える政府がおカネを発行できるのでしょうか…? それは…
通貨発行権があるからです!
これまでのシリーズで何かと「通貨発行権があるから」で片付けてきましたが、本質はここにあります! つまり、政府は「なんの裏付けもなくおカネを作り出せる権利=通貨発行権がある」ということがミソなんです!(実際には国債などが絡みますが物質的な担保はありません。)
みなさんが現金などのおカネを使うためには、誰かが0の状態から「債務」を負っておカネを生み出し、私たちに支出してくれないといけません。ですから、最初の「借金をする存在」は「おカネの限界がない政府」になっている、というわけです。
そもそも、「おカネの正体」は「債務と債権の記録」という「情報」ですから、「モノの裏付け」はあってもなくても成立するんですね。だからこそ政府は0からおカネを生み出すことができます。
以上の話をまとめると、「政府が借金をして、私たちへ貨幣を供給している」ということになります! これで「おカネはどのようにして生まれるのか」についてよくわかったのではないでしょうか?
ということで今回は「おカネが生まれる仕組み」について説明してきました! いかがでしたか?
前回に引き続き、少し頭をやわらかくしないとなかなか理解が追いつかないかもしれないですが、ひとつひとつをつないで「点が線になる」と一気に理解できるようになると思いますので、もう少しだけついてきてください!
そして次回は今回の話をさらに発展させていこうと思います! 今回の最後で「政府が借金をして、私たちへ貨幣を供給している」という話が出てきましたよね。 この「政府の借金」という表現、どこかで聞いたことはないでしょうか?
そう、遡ること2シリーズ、「国の借金1200兆円編」にこのフレーズは出てきました…。 それが一体、どう絡んでくるのでしょうか…!?
気になりますね! 次回も面白い話がてんこ盛りになっていますので、是非読みにきてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた!