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カジュアル logo mark 経済 #8 ー 政府の「アクセル」と「ブレーキ」

Writer : iscandaru(2021/1/26)

こんにちは! iscandaruイスカンダルです! 前回は「経済成長のポイント」について解説しました!

今回はその続きとして、日本がこの先経済成長するための「カギ」について話していこうと思います! 前回の最後に「経済成長」「政府の制約」には「インフレ率」が関わってくる、という話をしました。

これを理解するために、もう一度「経済成長のプロセス」について確認していきましょう! 経済成長のプロセスは以下のような流れでしたね!

「適度なインフレ」が起こる

需要を満たそうと「投資・開発」が行われる

投資・開発の結果「供給能力」が上がる

GDPが伸び「経済成長」する

そしてまとめでは「経済成長」のためには「インフレ」「投資・開発」が大切ということがわかりました! ではその「投資・開発」、そしてそもそも「適度なインフレ」を起こすためにはどうしたら良いのでしょうか?

政府のアクセル

大前提として、インフレのためには「需要」が必要です。供給能力を上回る需要があってのインフレですからね。では国の中で需要を作り出すのは誰かというと、

「家計」「企業」「政府」

の三つがメインとなります。(実際はここに海外や金融関連も絡んでくるのですが、ここでは考えないものとします。)つまり、インフレを作り出すためには「家計」「企業」「政府」のいずれかが需要を作り出さなければいけないんですね。

経済の3主体

ただし、ここでひとつ考えなければいけないのは「家計」や「企業」は自分が損したり、リスクを被るような行動はしないということです。 なぜなら「家計」や「企業」には出せるおカネに限度がありますからね。

さらに、今の日本のように「デフレ」が長年続いてしまった国では「家計」「企業」は自分からすすんで支出を増やしたり投資・開発をしようとはしません。みなさんも所得が減っているのに、失敗するリスクのある支出や投資をしようとはなかなか思いませんよね。(投資家やギャンブラーは別ですが笑)

「デフレ」はそのまま放っておくと「コストカット」の圧力ばかりかかってしまい、「供給能力」が損なわれてしまいます。だからこそ「政府」が進んで支出や投資・開発する必要があるんです。

ご存知のとおり、政府には通貨発行権があるため「おカネの限界」は存在しません。そして、政府は企業のように「利益」を上げることではなく、「国民を豊かにすること」つまり「経世済民」が目的です。

言うなれば、「政府」はその国最大の「非営利組織」つまり「NPO」ですから、損得など度外視で需要を作り出し、支出して、投資・開発することが重要なんです。

具体的には「高速道路」や「鉄道」といったインフラ関連、そして「警察」や「自衛隊」「行政」といった公共サービスを提供するために政府は「利益」を考えることなんてしなくていいわけです。国民の生活が保証されればいいんですから。

そうした政府の「需要作り」があって適度なインフレになった結果、「あれ、なんか景気がいいみたいだぞ? じゃあ私も…」というマインドが「家計」や「企業」に広がります。そうして支出や投資が増えた結果「経済成長」するという流れが生まれるわけです。

こうしてみてみると、「政府の支出」が経済成長のためにいかに大切な存在かがわかったのではないでしょうか?

…とここまでは政府が需要を作り出すプロセス、つまり「政府のアクセル」について考えてきました。でももちろんアクセルだけではうまくいきません。次は「政府のブレーキ」こと「政府の制約」について考えていきます!

政府のブレーキ

いままでは「経済成長」のためには「政府の支出」が必要だ!ということをいってきました。しかし、それを際限なくやってしまうと逆に困ったことになるんです。それは「過度なインフレ」です。

需要が大きくなりすぎると供給能力がそれに追いつかなくなり、「過度なインフレ」になってしまいます。その結果モノやサービスの価格が上がり過ぎてしまい国民が困ってしまうことになりかねません。

ですからここでは「家計」「企業」の需要を満たすように「政府の支出」は供給能力を高めるために必要なところに絞って行う必要があります。(インフラ・災害対策など)

そうすると国全体としては「適度なインフレ」が守られるため、経済成長し続けることができるんですね。

以上を考えると、政府はインフレ率をひとつの指標として、支出・投資・開発によって「アクセル」と「ブレーキ」を使い分けて行く必要があるということになります!

では今の日本ではこの「政府の支出」はどのようになっているのでしょうか? 確認してみましょう!

「政府の支出」に関するデータ

  • 日本の政府支出はここ20年で1.1倍以下
  • 同じ基準でのドイツの政府支出は1.4倍以上
  • 日本の実質消費指数は下降傾向にある
日本とドイツの政府支出の推移
三橋貴明、「日本とドイツの政府支出の推移(2001年=1)」(ソース元:IMF)
http://mtdata.jp/data_71.html#NICHIDOKU
日本の実質消費指数(2015年=100)の推移
三橋貴明、「日本の実質消費指数(2015年=100)の推移」(ソース元:統計局)
http://mtdata.jp/data_71.html#RC0620

ということで、日本の政府支出はここ20年でほとんど伸びていません。ガチガチの緊縮(政府がおカネを出さない)ことで知られるあのドイツよりも少ないのですから、これは相当です…(ドイツ以外ではもっと増えている国が多いです)

2つめのグラフを見るとわかるように、日本は長年続くデフレによって家計の実質消費が落ち込んでいます。つまり、上で説明したように今こそ「政府の支出」を増やすタイミングなのですが、ひとつ目のグラフを見る限り増やすとは思えませんよね…

と、現状を嘆くのはこのへんにして、上での説明を補足していきたいと思います。

適度なインフレっていうけど、それってどのくらい?

なんども「適度なインフレ」という単語を使ってしまったのですが、今までちゃんと説明はしていなかったですね。

ここでいう「適度なインフレ」とは「国民が困らない程度のインフレ」のことなんですが、具体的な数値を示すなら日本銀行が掲げている「インフレ率が1年で2%上昇」ですね。

この程度なインフレであれば、他の先進国でも達成されていますし、国民の生活に深刻な影響はでないでしょう。

どうして「政府の支出」がインフレを起こすことになるの?

先ほど、「政府が支出するとインフレになる」ということを言いましたが、具体的になぜそうなるのか、それは「政府の支出がGDPに加わるから」です。

どういうことか? 例えば政府が道路や水道などのインフラを整備するとしましょう。すると、その際の支出がその工事をする事業者の所得になり、その事業者が今度は別の場所で支出して…というふうにつながっていくのです。

つまり、政府が支出すると「誰かの支出が誰かの所得に」の連鎖をスタートさせることができるんですね。しかも、政府は「利益」のことを考えなくていいわけですからほぼノーリスクです。

さらに、警察官や教員などの公務員の給料を増やしたり、信号や街灯といった設備を充実したりと「民間ではできない」ところの需要を作り出すこともできるんですね。

以上から政府が支出を拡大すると、「GDPが増える」ということが言えるわけです。


はい、というわけで今回は「政府のアクセルとブレーキ」に関して話してきました。いかがでしたでしょうか?

今回のエントリーで「政府の支出」「政府の制約」「インフレ率」の関係が見えてきたのではないでしょうか? さまざまなことを関連づけて学んできた「経済成長ってなに?編」も次回でラストとなります!

次回は今までの話を全て総合し、「日本の本当の財源」について考えていきます!


最後まで読んでいただきありがとうございました!

ではまた!

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