カジュアル 経済 #4 ー 「税金」の役割は「財源」ではない。
こんにちは! iscandaruです! 今回はカジュアル☆経済 #4 となります!
前回までのカジュアル☆経済では、「国の借金のウソ」「財政破綻」について解説してきました。 そして、このような疑問があがっていましたね!
Clear!!
「『政府の借金=国民の借金』じゃないことは分かったけど、それでも借金あるんでしょ? なんか不安だな…」
Clear!!
「今は大丈夫だけど、将来このまま借金が増え続けていったら破綻しちゃうんじゃないの?」
「毎年税金から国債を返してるんでしょ?やっぱりこの借金は国民が負担するものなんじゃないの?」
ということで、カジュアル経済 #1から始まった、言うなれば「国の借金1200兆円のウソ編」もいよいよ佳境を迎えております!! 勢いに乗ってラストの疑問も解消していきましょう!
では、恒例のデータチェックをしていきます! 今回は「税金」に関するデータですね!
「税金と歳入歳出」に関するデータ
- 令和2年度の一般会計予算額は128兆3493億円
- 政府の収入のうち、「税収」が占めるのは半分の50%、「国債」が占めるのは45%
- 歳出のうち、「政府の借金」の返済に18%があてられている。
※項目や数値を簡素化のために変更、省略しています。正確な情報はソース元をご確認ください。
ということで、これが"政府のおサイフ事情"なんですが、いかがでしょうか?
「え、税金と政府の借金の割合ってほぼ同じなの…?」
「税金だけじゃ全然支出をまかなえていないじゃん…」
「え、これ家計に例えたらかなりヤバイ状態なんじゃ…?」
昨今のコロナ禍で政府の支出が増加していることもあって、不安に思う方も多いと思います。確かに、家計に例えるとかなり危険な状態で…おっと、これは危ない。
これまで学んできたように、"政府のおサイフ事情"を考える時はひとつ、注意しなければいけないことがあるんでしたね。それは、
「政府には『通貨発行権』がある」
ということでした。つまり、「家計に例えると…」としてはいけないんですね。なぜなら、政府に「おカネの限界はない」のですから。
したがって、歳出に占める「政府の借金」の割合が50%だろうが100%だろうが、わたしたち国民に影響が出ていないのであれば全然構わないわけです。
これに関して、「じゃあ政府は無限にお金を発行していいっていうのか!」と言われる方もいるのですが、もちろんそうではありません。
制約は「国民が困らないこと」であり、具体的に言えばそれは「インフレ率」によって制限されるのです。
「インフレ率」がどうして"政府の制約"になるのか、これについては次回以降で詳しく解説していきたいと思います。しばしお待ちを…!
少し話がそれましたが、つまり「政府の借金がいくらか」ということは問題ではないわけです。
…とここまできて、スルドい方はこんな疑問が浮かんでいるはずです。
「あれ? じゃあ『税金』って何のためにあるの?」
そう、政府の借金が「いくらでもいい」のであれば「税金なんて集める必要なくね?」となってしまうわけですよね。
しかし、もちろん「税金」には超重要な役割があります。ただし、それは「財源」という役割ではありません。ここで税金の役割についてまとめておこうと思います。
「税金の役割」
- 景気を安定させるため → ビルトイン・スタビライザー
- 格差を小さくするため → 貧富の差を小さくする
- 所得を再配分するため → 公共サービスはみんなで運営
- 日本円を流通させるため → 税金を集めるときには日本円を使う
- 政策的な目的など → 「炭素税」「たばこ税」など
ひとつずつ解説していきますね。ではまず役割の1つ目、景気を安定させる作用です。そもそも景気というのは簡単に言えば「みんながモノやサービスを買っているか」で判断することができるものなんです。
「買い過ぎ」は過度なインフレを招き、「買わな過ぎ」はデフレを招きます。(これについては以降で解説します。) これが起きてしまうと、国民の生活に様々な影響が出るため「景気を安定化」させなければならないわけです。
これは、主に「所得税」などが担っている機能で「稼ぎが少ない人からは少なく、多い人からは多く」という税金の取り方、つまり「累進課税」の制度を取ることによって、「使いすぎもなく、抑えすぎもない」状態を作っているわけですね。
これがいわゆる「景気安定化装置」別名「ビルトイン・スタビライザー」という(かっこいい)名前のついている機能なんです! これが「税金の役割」としてかなり大きいものなんですね。
次の役割として、「格差の縮小」があります。日本やアメリカなど、「資本主義」をとっている国では、どうしても「裕福な人」と「貧しい人」の差ができてしまいます。
これは仕方のないことではあるのですが、だからといって「貧しい人」が「健康で文化的な最低限度の生活(生存権)」を送れないということがあっては国家として問題です。
したがって、先ほどの「累進課税」と同じ考えかたで、税金によってその「貧富の差」を縮小させることによって、全国民が「一定以上の豊かさ」を受けられるようにしよう!ということなんですね。
さらに、「特定の場所におカネが集まりすぎる」ことも問題です。特定の勢力がおカネを持ちすぎるとそのパワーで「国内の権力バランス」が崩れてしまうことになりかねませんからね。 したがってこの機能も国を運営するために重要な「税金の機能」のひとつなんです!
そして次の役割が、「所得の再分配」です。これは道路、送電網、水道などのインフラや学校、警察、自衛隊、行政などの公共サービスを運営するために、ある一定分は国民で負担しようね、という考えのことです。
ただし!ここで注意しなければならないのは、これはあくまで「みんなで運営する」という意識を作る目的のものであって、「財源」として必要というわけではない、ということです。あくまで、「みんなで使うものはみんなで運営しよう」という考えのもとで「税金」が使われているわけですね。
そして、「日本円を流通させるため」なんですが、これは「租税貨幣論」という少し難解な考えなので、ここでは割愛します。(以降で解説するかも)
これらの他にも「二酸化炭素の排出を抑える」「タバコによる健康被害を少なくする」などの政策的な目的で税金が徴収されることもあります。
このように、「税金」には上記のような重要な役割があるわけですね。その上で、集めた税金を捨てるわけにもいかないので「政府の支出」に使われている、ということなんです。
以上から、「税金のメインの役割は『財源』ではなく他にある」ということがわかっていただけたのではないのでしょうか?
これでついに、疑問の全てを解決することができました!
Clear!!
「『政府の借金=国民の借金』じゃないことは分かったけど、それでも借金あるんでしょ? なんか不安だな…」
Clear!!
「今は大丈夫だけど、将来このまま借金が増え続けていったら破綻しちゃうんじゃないの?」
Clear!!
「毎年税金から国債を返してるんでしょ?やっぱりこの借金は国民が負担するものなんじゃないの?」
でも、これは私が勝手に生み出した疑問ですから読者の皆さんの中にはまだ納得できない、という方がいるかもしれません。
これに関しては、当サイトのフォームから管理人に質問を送っていただいてもいいですし、もしくは自分の中でもう一度噛み砕いて考えてもらったり、ご友人などと話していただけたら嬉しいです!
また、このたびこの「財源」や「国債」の問題について、わかりやすく解説されている「財源研究室」をご紹介させていただきます! 画像や解説記事が豊富で大変わかりやすいサイト様なので「カジュアル☆経済だけでは足りないorわからない…!」という方は是非ご覧ください!!
というわけで、これにてカジュアル☆経済は終了…ではありません!! これからも続いていきますよ!
まだまだ経済にはおもしろいところがたくさんあるので、これからも一緒に楽しんでいきましょう!!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた!