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カジュアル logo mark 経済 #6 ー 「インフレ」「デフレ」について考える

Writer : iscandaru (2021/1/22)

こんにちは! iscandaruイスカンダルです! 前回は「GDP」について解説しました! バッチリ理解できましたか?

今回は前回得た知識を踏まえて、次のステップへと進みたいと思います。今回、取り上げるトピックは…

「インフレ・デフレについて」

です! これも超重要ですよ〜! 経済の話になると「インフレ・デフレ」も「GDP」とならんでよく聞く単語だと思います。 でもその意味、ちゃんと知っていますか?

特に「インフレ」に関してはこんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?

インフレのイメージ

とほうもなく物価が上がり、毎日札束を抱えて買い物に行く生活…それが「インフレ」のイメージではないですか? 社会の教科書でも「紙幣で遊ぶ子どもたち」の写真が有名で、覚えていらっしゃる方も多いと思います。

ただし!これは完全なる「誤解」です。「お金を刷ったらインフレになる」とか「インフレ・デフレはお金の量によって決まる」なども同様に誤解なのですが、今回はこのように間違ったイメージがつきやすい「インフレ・デフレ」について理解を深めていきましょう!

ではまず、この「インフレーション」そしてその反対である「デフレーション」はどのような原因、プロセスで発生するのでしょうか? インフレ・デフレはマクロ経済の出来事ですので、まずは身の回りのミクロ経済についてみていきましょう。

インフレのプロセス

図のように、1日に100コのりんごを生産できる農家さんがいたとします。 そこへ「りんご120コほしい!」というお客さんが来たらどうなるでしょう?

農家さんは現在、1日100コしかりんごを生産できません。 すると農家さんは…

「今ウチのりんごが人気っぽいぞ…! よし、値段を上げちゃおう!」
「1日120コの需要があるなら、農園を広くしてもっと生産できるようにしよう!」

というふうになるはずですよね? そう、この「値段上げちゃおう」がきっかけとなり、これが国全体に広がると「インフレ」となるわけです。

では反対に「デフレ」はどのように起こるのでしょうか?

デフレのプロセス

今度は1日100コのりんごを生産できるのに、お客さんは「80コしかいらない」と言っています。 こうなると農家さんは…

「りんごを生産しても余ってしまう… よし値下げして売り切れるようにしよう!」
「1日80コしか需要がないなら、コストもかかるし来年から生産減らしてもいいかも…」

となるはずです。 「デフレ」はインフレと反対に、「モノやサービスの値段を下げる圧力」が働く現象なんですね。 ここで「値段が下がるなら安く買えるし、いいじゃん!」と思ったそこのあなた!ちょっと待ってください!

確かに、値段が下がると「買う側」は嬉しいかもしれません。しかし、前回確認した「GDP三面等価の原則」によると、「誰かの支出は誰かの所得」でしたよね? つまり、あなたの支出が減ったぶん、その商品を生産した人の所得も減っているんですね。

ではその「所得が減った人」が今度「買う側」に回ったとき、どうなるでしょうか? きっと「支出を抑える」はずですよね? そうするとまた誰かの所得が減って… というふうにつながっていくのが「デフレ」もっと言えば「デフレスパイラル」なわけです。


ということで、「インフレ・デフレ」の仕組みについて理解できたでしょうか? ではここで、「インフレ・デフレ」のデータをまとめておきます。

「インフレ・デフレ」に関するデータ

  • インフレ・デフレは「需要と供給のバランス」で決定される。
  • 「インフレ」:需要が供給を上回り、物価が上昇する。相対的におカネの価値は下がる。
  • 「デフレ」:需要が供給を下回り、物価は下落する。相対的におカネの価値は上がる。
  • 長期のインフレになると、供給能力を高めようと投資や開発が伸びる。
  • 長期のデフレになると、コスト削減のため供給能力は下がっていく。
  • 「過度なインフレ」→「ハイパーインフレーション(物価が一年で130倍になる)」が起こるのは「戦争」や「革命」などの特殊な場合に、供給能力が破壊されて発生する。
  • 現在、日本のインフレ率(コアコアCPI)はほぼ0%
インフレとデフレ
政府債務残高とインフレ率の関係
三橋貴明、「政府貨幣発行残高(旧:長期債務残高(左軸))と国債金利・インフレ率(右軸)」(2020年4月24日時点見込み、ソース元:財務省)
http://mtdata.jp/data_69.html#zaimu
青の折れ線が「インフレ率(コアコアCPI)」です。

というわけで「インフレ・デフレ」についてのデータでした。 日本に関して言えば、1997年の消費税5%への増税以降20年以上にわたるデフレが続いていますし、このたびのコロナ禍によって需要が冷え込んでいるためさらなる「デフレ化」は避けられないでしょう。※ ちなみに2000年以降日本がインフレになったのは「消費増税」のタイミングのみです…

では具体的に、「インフレ・デフレの影響」について考えていきましょう。

インフレの影響

「インフレ」になると需要過多なので物価は上がりますが、その分国内の「供給能力」上昇させようとします。具体的には「工場をもっと建設しよう」とか「もっと効率よく生産できるようにしよう」などの「投資・開発」の圧力が働くということです。

「供給能力が上昇」した結果、国は豊かになります。なぜなら前より多くのものを生産し、その結果国全体の所得が増えるのですから。※ GDP三面等価の原則

一方で、「ハイパーインフレ」になると国民は困ります。なぜなら「需要が大きすぎて供給が追いつかない」からです。もう少し簡単に言えばみんな"飢えてしまう"んですね。

しかしながら、現状日本ではそうした状況は起こり得ないでしょう。なぜなら「ハイパーインフレ」は戦争などで「供給能力が著しく破壊された場合」のみ起こる現象だからです。

つまり、国民が日常生活を送るだけの十分な供給能力を持っている現在の日本では「ハイパーインフレ」はほぼ「ありえない」現象というわけなんです。

また、適切なインフレは日本銀行も目指しています。それは「年率2%のインフレ」です。これは100円のものが翌年102円になるくらいの物価上昇率です。これなら大丈夫そうじゃないですか? もちろん、これはあなたの収入が毎年2%ほど上昇するということも表していますよ♪

デフレの影響

一方デフレははっきり言って「いいことがない」です。 インフレとは逆に、需要が少ないために生産能力はジリジリと削られていき、みなさんの所得も減っていってしまうのが「デフレ」ですから。

その結果、「国民の貧困化」「格差の拡大」が進みます。 これが日本で20年以上続いていると考えるとゾッとしませんか…?

数字でみてみましょう。 厚生労働省によると日本国民の実質賃金は1997年を基準にすると15%程度下落しているそうです(http://mtdata.jp/data_72.html#RI20Aug)これでは日本経済が冷え込んでしまいますよね。


以上をまとめると、「インフレ・デフレは『需要と供給のバランス』で決まり、国としては『適度なインフレ』を目指すべきだ」ということになります。

ではそのためにはどうしたらいいのか、それがまさに「経済成長ってなに?編」のミソなのですが、今回はここまでにしておきたいと思います!(笑)

いかがでしょう、今回で「インフレ・デフレ」とは何かについて理解できたのではないですか? 今までの「GDP」と「インフレ・デフレ」の知識があれば「経済成長のために必要なことが何か」についてハッキリとわかるはずです!

その「経済成長のためのポイント」について次回のカジュアル☆経済で考えていきましょう!


最後まで読んでいただきありがとうございました!

ではまた!

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