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カジュアル logo mark 経済 #16 ー 税金の影に潜む黒い思惑

Writer : iscandaru (2021/2/12)

こんにちは! iscandaruイスカンダルです! 前回のカジュアル経済では「消費税の欠陥」について説明しました。

今回はそれを踏まえて、なぜこれほどまでに「消費税」が増税されてきたのかという"経緯"について考えていきたいと思います!

「消費税」はご存知のとおり、1989年からはじまり、これまで三回の増税を経て、10%にまで上昇してきています。 なぜ日本は、こんなにも消費税を増税しなければならなかったのでしょうか?

それは、ここ数年〜数十年の「税金の推移」をみるとわかってきます…! では、おなじみのデータチェックといきましょう!

「税金の推移」に関するデータ

  • 日本の税収のうち、主なものは「消費税」「所得税」「法人税」の3つ
  • 「消費税」の増税の一方で、「法人税」が引き下げられてきた。
  • 大企業(資本金1億円以上)にはさまざまな減税措置がある。
日本の税収の割合の推移
財務省、「所得・消費・資産等の税収構成比の推移」
財務省リンク
法人税実質負担率
国税庁、「税務統計から見た法人企業の実態」(平成30年)より作成
国税庁リンク

ということで、税金の推移、そして構成比率について確認してみました。 では、このデータから何が見えてくるでしょうか? 考えていきましょう!

消費税と法人税の
「トレードオフ」

まず、上の税収構成比のグラフを見ていただくと、「あること」に気づくかと思います。それは、「消費税の割合が大きくなっている代わりに、法人税の割合が小さくなっている。」ということです。

消費税と法人税のトレードオフ

これが「消費税が引き上げられてきた要因」のひとつなんですね。 つまり、「法人税を下げて企業を優遇するために、消費税をあげよう。」という意図が読み取れる、というわけです。

さらに、実質税負担率(企業の利益に対する税金の割合)を見てみると、なんと!資本金が1億円以上といういわゆる大企業の方が負担が小さく、中小企業の方が負担が大きいんです!

なぜこの差が生まれるのかというと、大企業には「輸出戻し税」や「外国子会社配当益金不算入」といった「減税措置」がたくさんあるためです。

このように、大企業を優遇するために、「デフレ」を起こし、さらに「格差の拡大」を起こす「消費税」が上げられてきたという経緯があるんです。言ってみればこれは、

「大企業サマに儲かってもらうために、国民の負担を増やそう!」

という姿勢なわけですから、国民にとってみればたまったもんじゃありません。
本当なら、民主制の日本でこんなことが許されるはずがないのですが、政治力の強い大企業にゴリ押しされてしまっている、というのが現状なんです…。

この「消費税と法人税のトレードオフ」の関係によって国民が苦しめられるという状況をなんとか変えていかなければなりませんね!

全ては株主サマのため…!?
驚愕の「お金持ち優遇」

では法人税が減税されると何が嬉しいのでしょうか? それは企業に出資している「株主」が関わってきます。

そもそも「法人税」「企業の純利益にかかる税金」です。純利益とは、企業の売り上げから「人件費」「材料費」「外注費」などの諸経費を差し引いた、企業の最終利益のことです。

この純利益から株主へ「配当金」が支払われます。つまり、株主にとっては「企業の純利益の拡大」こそが配当金という名の「自分の利益」につながるわけです。

したがって、法人税が引き下げられることは「純利益」が大きくなることにつながるため、株主とって好都合なことなんです。 さらに、純利益が大きくするために「リストラ」や「コストカット」を行い、より純利益を拡大しようという圧力を企業にかけることもあります。

さらにさらに!株主になるようないわゆる「お金持ち」はこの他にも優遇措置があります。 それは「分離課税」という税金の制度です。

これは先ほどの「配当金」で得た所得は、一般の所得と分離され、より小さな税率がかかるという仕組みになっています。

法人税実質負担率
令和元年度東京都税制調査会、「申告納税者の所得税負担率」
令和元年度東京都税制調査会リンク

グラフを見てみると、所得が1億円以上の人の所得税負担率はどんどん小さくなっていることがわかりますよね。 要するにこれは「お金持ち優遇」の制度なのです。

こんな優遇制度があるため、なおさら株主は「純利益の拡大」そして「法人税の引き下げ」をその大きな政治力を持って押し進めようとするのです。(もちろん「すべての株主がそうだ」というわけではありません。)

そのツケを払わされるのが結局は「賃金の低下」や「消費税増税によるデフレ」でモロに影響を受ける「一般庶民」です。 そりゃ文句の一つも言いたくなるのは仕方ありません。

貧乏神に取り憑かれた!?
「緊縮」という考え方

ではなぜ、このような仕組みになってしまったのでしょうか? それには政治家、いや国民全体に広まっている「ある考え」が原因なんです。 それは…

「国の財源は『税金』であり、『国の借金』は増やしてはならない。」

というものです。これは「緊縮」という考え方で、「政府の支出はなるべく減らし、税収の中でおカネを出すべきだ。」という「家計簿に似た発想」の考え方なんですね。

この「緊縮」という考えがあるために、「消費税を上げて法人税を下げる」というトレードオフの関係が生じさせてしまいます。それだけでなく「社会保障のためには増税が必要だ。」という意見の温床にもなってしまうんです。

でも、これまでのカジュアル経済を読んでくださった方はよくお分かりかと思いますが、

国の財源は「供給能力」である。
政府の借金は「おカネの供給」である。
政府には「通貨発行権」があり「おカネの制約」はない。

という事実からすれば、この「緊縮」という考え方は「間違った発想」なわけです。ですから、なんとかして、この「緊縮思想」を世論で変えていかなければならないんですね。

かくいう私も、そんな「緊縮思想」を打ち破るためにこのカジュアル経済の連載をしています。 活動を開始してから1ヶ月、微力ながら少しずつ影響を与えられているなと実感しています。

もし、この「緊縮思想」をなんとかしなければ!と思っていただける方がいれば、上のような「事実」を広めていただいたり、この「カジュアル経済」を紹介していただけると大変嬉しいです。


ということで今回は、「税金の影に潜む黒い思惑」について追求してみました!いかがでしたでしょうか?

一部のお金持ちや緊縮の考え方によって私たちが苦しめられるのはオカシイですよね! ぜひ、皆さんの力で「正しい経済の知識」を広めていきましょう!

次回は「緊縮」の考えについて、もっと深く切り込みます! 「税金の真実編」もいよいよ佳境です! お楽しみに!


最後まで読んでいただきありがとうございました!

ではまた!

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